かなり古いのですが、「医療費のコスト削減策はこんなにある 」という森永卓郎さんの記事に、おそらく医療関係者と思われる方々からの大量のコメントがつきました。
森永さんは、医師の数が足りないのであれば町医者と最先端医療では求められるレベルが違うのだから一種二種のように資格を分けて医師になりやすくすればよいのではないか(そして診療費も差をつければいいのではないか)という提案でした。
それに対して、「お前は準医師みたいな(質の低い)のに診てもらいたいか?」というようなコメントがたくさんついたわけですが、これは一般人の感覚とお医者さんとでずいぶんずれているなぁと思っていました。私の感覚では、風邪ぐらいなら二種医師に診てもらってもぜんぜんいいのですが。まあ、書き込んでいるお医者さんが特別なのかもしれませんが。
すると、この森永さんの意見を擁護した小倉弁護士のblogに今度は舞台が移って、小倉弁護士 vs お医者さんで議論が沸騰しました。もう1ヶ月くらい続いています。
その一連の小倉弁護士の話で、「なるほどなぁ」と思ったのがあったのでここに紹介します(これがこのエントリのメインです)。
自分は、産婦人科医が帝王切開手術に失敗して死亡させたことが刑事告訴された事件について、民事で賠償請求なら分かるけれども刑事とは厳しいなぁと思っていました。そのお医者さんも一生懸命手術を施したものの、たしかに一部に対応がまずい部分もあったかもしれず、残念ながら患者さんを死亡させてしまった。そういうケースで刑事告訴は厳しいなぁ、ますます医師のなり手が減るかも、と思ってしまいました。そういう批判的報道だったから、それにそのまま流されてしまったのでしょう。
ところが、小倉さんのblogで、命に関わるような仕事は医者だけじゃなくてトラックの運転手も同じだ、トラックの運転手が人を轢いたら業務上過失致死で刑事告訴され、さらに最近では危険運転致死傷罪にとわれたら実刑で即交通刑務所入りなのに、どうして医師が業務上過失致死罪で告訴されることがそんなにおかしいのか、という話がありました。
la_causette:刑事罰は業界を崩壊させるのか
なるほどなぁ、おっしゃるとおり、と思いました。
もちろん、お医者さん側が精一杯やった中での事故であれば、 それを主張すれば執行猶予はつくだろうし、きちんとした医師であれば社会的地位もそれなりに維持されるでしょうから、小倉さん曰く、医師がやるべきは刑事告訴そのものの否定ではなくて、そうした弁護支援活動や裁判後の被告医師の取り扱いの公平さへの取り組みだろう、と。
なっとくです。(もちろん医師にまったく非がない場合は起訴もされないでしょうし)
ただ、交通事故は車に乗っている限り国民全員にリスクがあるけれども、医療事故は医師か関係者にしか起きえないリスクであって、そこを同じ天秤にかけてもいいのかというのは少し疑問としてあります。
2008年7月4日金曜日
医療ミスの刑事告訴について
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