2008年5月28日水曜日

ルワンダ大虐殺におけるメディアの恐ろしさ

友人のstemy氏のブログでコンゴ民主共和国における内戦の話がありました。
incubator@london:Rape of a Nation by Marcus Bleasdale

最近読んだ記事でちょうど隣国ルワンダの大虐殺について扱ったものがあったので紹介します。

NBonline:伊東 乾の「常識の源流探訪」:メディアで憎悪を増幅してはいけない!ルワンダ大虐殺:本当に起きたことは何なのか

アフリカのこの辺りの内戦や虐殺には必ずツチ族とフツ族の対立という図式が出てきますが、この対立がいわゆる民族の対立ではないという重要な指摘です。著者の伊東氏は、ルワンダ外交官にも話を聞いていますし、ルワンダにも行っているので情報源からするとこれは正しいのでしょう。

記事では、日本史との関連で語られていたり、国民の暴走とそれを増長するメディアという観点もあり、非常に興味深いです。これからルワンダについて連載されていくということなので楽しみです。

被害者意識による報復の正当性感覚が勝手な共同体的正義へと発展し、虐殺へと進んでいくことは人類史で何度か繰り返されています。そこには、メディアによる憎悪の増幅というものも大きな威力を発揮しています。今の日本においても、メディアが発する(煽る)"憎悪"に対してはそうとう用心してかからないといけないでしょう。

最近は、凶悪犯への憎悪から国民が望む形で厳罰化が進んでいるように感じます。個人が抱える"憎悪"は、とくに被害者の場合しょうがないですし同情もしますが、社会的雰囲気として憎悪が増大するのはあまりよいことに思えません。実際、統計上は殺人事件などは減少傾向にあるにもかかわらず治安が悪化しているかのように感じさせられています。
メディアは視聴者が望むからそうした憎悪を流し、視聴者はそれを見てさらに憎悪を膨らませるという悪循環が起きているようにも思います。これが悪循環なのだとしたら、どうすればこれを止められるでしょうか。

なお、記事の執筆者の伊東乾氏については、著書の『さよなら、サイレント・ネイビー』を読んでいてこのブログにもメモを残しています(「日本的近代社会とオウム事件:『さよなら、サイレント・ネイビー』」)。そのときも自分は生意気なことを書いていますが、伊東氏はジャーナリストとしても(本業は違うと思いますが)バランス感覚に優れ、ものごとを的確に説明してくれるので、この連載にも期待です。

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