Google App Engineの発表とSalesForce.comとの提携が相次いで行われたことから、クラウド・コンピューティングがエンタープライズ分野にも進出し、クラウド vs エンタープライズかのような構図で語られることもあるようです。
ITPro:「あなたのビジネスをクラウドへ」,SalesforceとGoogleがMS/IBMに宣戦布告
ITMedia:Googleのクラウドユートピアは企業ニーズに合致せず——MuleSourceのCEOが指摘
クラウド・コンピューティングが企業でも使われようとしているのは、1つにはコンシューマライゼーションの流れの一環としてあるように思います。
また、もともとエンタープライズでは、ユーティリティー・コンピューティングというIBMやSun、Oracleなどが提唱していたITのアウトソーシングの流れもあり、クラウド・コンピューティングはこの流れの1つとも言えるかもしれません。
そもそも、IT業界にいる人にとっては、クラウド・コンピューティングはユーティリティー・コンピューティングの焼き直しのようにも思えます。
上のITProの記事の中でGoogleのEric Schmidt氏がこの2つの違いを指摘しています。
「企業向けのクラウド・コンピューティング」は,既存ITベンダーが語るユーティリティ・コンピューティングとはいくつかの面で異なるとも主張する。「1 つめは,ブロードバンド・ネットワークが前提になっていること。エンドユーザーが無線LANを使っていつでもどこでも情報を使えるのが,我々のクラウド・コンピューティングだ。2つめは,GoogleとSalesforceがそうであるように,アプリケーションを簡単に融合できること。3つめは,現実のビジネスに今すぐ適用できる点である」
要するに、自分なりにまとめると、ユーティリティー・コンピューティングは、
- 必ずしもインターネットが前提でない(クローズドなネットワークによるサービスとしてもありうる)
- ユーザ企業ごとに切り離されている
- カスタム開発された企業内アプリケーションを企業外のシステムに配置して利用することを想定されている
- インターネットによるオープンなネットワーク
- マッシュアップ
- 部品の再利用による迅速な開発
シュミット氏自身が意識しているとおり、クラウド・コンピューティングはユーティリティ・コンピューティングとは異なるものの、その流れにあるものだとは言えると思います。
今までITベンダが理想像を唱えるだけでほとんど実現できていなかったユーティリティ・コンピューティングが、コンシューマライゼーションの流れによって企業の中にも取り込まれるようになってきたと言えるのかもしれません。
ITPro:IBM、グーグルが創る次世代IT、クラウド・コンピューティングの正体(前編)
ITPro:IBM、グーグルが創る次世代IT、クラウド・コンピューティングの正体(後編)
という解説記事もありました。
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