2006年12月7日木曜日

著作権は主張すべき、でもどうやって?+著作権法厳罰化の動き

最近の著作権がらみの話。

YouTube「氏名や住所の登録を必須に」--権利団体らが著作権侵害防止策を要請

JASRACや民放連が、YouTubeに対してユーザの個人情報の登録の義務付けや違反したユーザIDの削除、警告文の掲載などを要求したようです。

YouTubeは、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の「Notice & Take Down」には自国の法律なので従うでしょうが(従ってますが)、日本からの要請には従わないでしょうね。法的義務が発生しないので。

それより日本の民放連などは、自身の著作権を確保しつつ、"Creative Commons"を適用するようにという"粋な"要請をYouTubeにしてほしかったですね。その上で著作権上の調整が取れないコンテンツに対しては削除依頼を出せばよいわけです。そうするとYouTubeより一歩先行く戦略をとることもできたかもしれません。まあ、ありえないでしょうが。(YouTubeがCreative Commonsに反している点については「Web2.0に対して深まる分析:Fake Sharing vs Switchboard」)

なにより自身のコンテンツを、視聴者に有料でも何でも自由な時間に見れるような環境整備をするのを怠っているのが問題なのではないでしょうか。
そういう環境が外部にできるとあわてて否定しだしている、とそういう後手後手の対応に見受けられます。

Creative Commonsについては、伊藤穰一さんも"共有経済"という少々過激な概念で語っています。

多才の人、伊藤穰一氏に聞く

GoogleやFlickrが例としてあげられています。
ただ、この手の議論でちょっと気になるのは、GoogleにしろFlickrにしろ、人が作ったものを共有するための仕組み(API他)を提供しているだけです。Google自体は、自身のコンテンツ(=検索アルゴリズムやプログラム)を一切公開していませんし共有もしていません。その上で、その非共有の物を使って広告モデルを適用しきっちり収益を上げているということです。万が一Googleのソースコードが漏えいしたらおそらく著作権も主張してくるでしょう。

これは映像に置き換えて言ってみれば、製作した映像(映っている内容)をいつでも自由に見れるようにします=APIを提供します。でも、撮影技術やノウハウの詰まった映像自体はお渡ししませんし、映像を見るときは広告見せます、というものになるのではないでしょうか?

その意味で、自身のアイディアが詰まった製作物に対して著作権を主張することはなんら間違ったことではありません。ただ、今の映像コンテンツの現状に関して言えば、いつでも自由に見れるような仕組みが用意されていないことは消費者に対する怠慢と映ってもしょうがないかもしれません。

その問題の解決にYouTubeを利用する、というのが今アメリカの著作権管理団体が進めている戦略です。彼らは、自身の著作権は保持したままYouTubeを使って配信し、広告収益は折半する、ということを始めています。(「急速に進展する経済的対価のスキーマと著作権の折り合いの模索」)


話は変わって、上の問題よりももっと困った問題かもしれないことが今進んでいます。

著作権法違反の厳罰化とネット監視社会への危惧

厳罰化するのはいいですが、今の時代に合わない著作権法のまま厳罰化されては、運用する方も法を適用される側も困ってしまいますね。
著作権法を今の時代に適した現実的なものにするという取り組みが必要です。ただし、これについてはアメリカも実現できていないですが。


なお、最初の話題については、別の観点で、「しあわせのくつ」にも取り上げられています。今回YouTubeに要請を出した会社の中にYahoo! Japanも含まれていたようです。Yahoo!Japanの親会社がSoftBankというのも関係しているかもしれませんね。

Yahooがオールドメディアになった日

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