2008年4月8日火曜日

ネット規制法とその反応

CNET:日本のインターネット産業に大きな節目?--自民と民主が重要法案を準備

民主党から出てきたネット規制法草案が自民党案とそっくりということで、にわかに国会を通過する見込みが出てきたネット規制法について、各所で議論になっています。

その急先鋒たる池田信夫blogでも積極的に取り上げられています。

池田信夫blog「ネット規制を競う自民・民主・総務省」

この記事では基本反対ですが、評価する部分も指摘してあります。

池田信夫blog「日本の「安心」はなぜ、消えたのか」
この記事では、ムラ社会的古き良き道徳論へのセンチメンタリズムが的確に批判されています。
ただし、個人的には、ムラ的社会から契約社会への移行を歴史的必然とするのは基本的流れとしては正しいと思いますが、完全なる契約社会への移行はないと考えています。アメリカであってもムラ的社会の要素は残っていると思いますし、新大陸のアメリカ(とオーストラリア?)以外の場所では、メインストリームが契約社会になりつつあっても、いろんな側面でムラ社会は残り、インターネットがそのどちらにも影響する以上、契約社会の正論のみで押し切るのは無理か、もしくはまだもう少し時期尚早にも思えてきます。

他方で、
池田信夫blog「真理の哲学」
では、この法案に感情的に反応する人たちに対して、「「自由放任主義」も、ひとつの神話にすぎない。」と抑えも利かしています。
自分が学部生だったころもそうでしたが、こういう一見権力による締め付けに見えるものには非常に神経を逆なでるものがあります。が、実はそういう反応をする人間が寄って立つところにも権力というものは潜んでいるのであって、晩年のフーコーが研究したように、偏在する権力に敏感である必要があります。話は脱線していますが。

また、
池田信夫blog「タカ派バイアス」
では、こうした議論が、両方負ける最悪のチキンゲームになりやすいことが指摘されています。

池田信夫blog「「消費者司法」が必要だ」
では、業界ごとに業法ができることが批判されています。インターネット業界だけに適用するような法を作るのではなく、もっと刑法などどの業界にもあてはまる一般的な法にすべきだというものです。もっともです。

まとめると、池田信夫さんは明確にリバタリアンの立場だと思います。
つまり、

* 国家権力と法でもってネット上の有害情報を規制・処罰するのは間違い
* 消費者による評価(市場評価)でのみ規制処罰すべき、そのための民間の第三者機関は必要
* 実は、そのための団体や法は既に整備されていて、あとは行動あるのみ(今回のような業法は不要)


あと、業界が自主規制できるようになっていればよいのではないかとも思えます。放送業界や出版業界が自主的に規制しているように。通信の秘匿等あってネット業界では難しくなっていますが。

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