ITMediaに「グーグルによるYouTube買収とWeb2.0無料経済の普及」という野村総合研究所の人の記事が掲載され、読んだときにつっこみどころ満載だと思ったら、CNetの記者がそれを指摘する記事を書いていたので紹介します。
「レッシグの思想や哲学を大手メディア企業が受け入れた」ってほんとう?
この記者さんの認識に賛同します。また、この記事は、記事中に注目すべき議論へのリンクが多数貼り付けられているので重宝します。
大手メディア企業は、著作権の行使を見合わせると言っただけで、著作権は放棄していません。
しかも、FlickrなどはCreative Commonsで写真を配布できるようにしていますが、YouTubeにはCreative Commonsで動画を配信する仕組みはありません。レッシング教授自身から"Fake Sharing"と呼んでいるように、YouTubeは動画を自由にダウンロードしたり加工できたりする仕組みがなくコンテンツを独占しているためCCと相反する部分があります。
けっきょく、著作権の話はいったんおいておいて、コンテンツを作成した大手メディアとコンテンツを再配信する仕組みを作ったYouTubeが結託して、お互いが利用しあうビジネス上のWin-Winの関係を築こうとしているのが現状です。
その仕組みを新しいものと捉えれば、たしかに新しい広告モデルができるのかもしれません。そのもっとも有効な利用手段は、「マスメディアと共同体的記憶とYouTube」で引用したWeb2.0(笑)の広告学で紹介されていた、バーガーキングの宣伝方法でしょう。
他方で、CNetの記事に「Nicholas Carrの言葉」として紹介されているように、再配布の仕組みを結果として独占するようになったYouTubeが、非常に多くの人の無償の活動を搾取してごく少数の人が儲けようとしている、ということになります。
これについては、今年の4月の時点のfladdict.netブログで、「WEB2.0って結局は"地主制度2.0"なんじゃないの?」というかたちで似たような主張がされていました。
マッシュアップは、一部のデータ独占企業に搾取されているだけではないか?と。
データがなるべく多く広く流れることはおそらくよいことでしょう。YouTubeもその一翼を担っています。
その上で、どのようにデータが流れていくか、それに伴いどのようにビジネス上の収益が得られていくか、さらにはどのようにして各種権利が守られ、法律と整合をつけていくか。まさにそのあたりのことが一気に問われているのがWeb2.0の時代とも言えるのではないでしょうか。
2006年10月31日火曜日
著作権より実をとる:情報の再独占と新しい広告収益モデル
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