2006年10月28日土曜日

「Googleが奪う本質を考える力」に膝を打つ

タイトルは、次のリンク先記事そのまんまです。

グーグルが奪う「本質を考える力」

最近、ググって答えが出てこなかったら「わかりません」と言ったり、リンク先にもあるようにググったものをそのままコピーしてきたり、と、せっかく Googleのおかげでいろんな情報が手に入るようになったにもかかわらず、人間がその情報をうまく処理できていないケースが見受けられるようになってきている気がします。

ビジネスでも何でも、なにか問題があってそれを解決するためにみんなが頭を絞るわけです。
そんなときに、問題の表面的な現象だけでググって出てきた対応項目を解決策として提示するというのは、たとえその現象を鎮火できたとしても真の解決策とは言えません。

問題の裏にある真の原因を探り出し、状況や制約などもろもろの条件をすべて考慮して全体としての真の解決策をひねり出してくる必要があるのです。
ここで、「真の解決策」というのは、その問題の関係者(ステークホルダー)全員が満足するような解決策ということです。

また、同じ日に、宮田秀明さんの「経営の設計学」で、
相次ぐ製品リコールの裏にあるもの
という記事がありました。

ここでは、船の設計のみならず(宮田さんは元々船の設計者)、技術開発やビジネス経営においても、次の3つの力が必要だとされています。

* 経験知力
* 原理原則力
* シミュレーション技術

シミュレーション技術は、たとえシミュレーション技術を使わない場合にも「仮説検証論理力」として言えると思います。

また、記事の中では、上の2つは言葉で継承しにくい力だとも指摘されています。現場でもまれて身につけていく力だ、と。重要な指摘と思います。

先ほどの、「Googleが奪う本質を考える力」とからめて考えると、Googleのおかげで経験知力を活かすためのネタとなる情報は集められるわけです。すなわち、経験のなさは情報としてはある程度補えるわけです。

ところが、

* その集めた情報をうまく現実にあてはめるためには、「経験知力」が必要であり、まずそこがうまくいかない。
* また、たとえ情報が十分に集まりきらなくても、「原理原則力」でもって本当に必要な情報をより分け、本当の解決策をロジカルに考えていくことができない。
* 足りない情報を仮説で補って埋め合わせ、直面している問題に解決策をあてはめたときにどうなるかを「仮説検証」することができない。

というかたちで、本質的な解決策を考えることができないケースが出てきている、ということになります。

ものごとの本質を考える力、というのは技術や機械ではどうしようもない部分がまだまだ多いと思います。技術や機械はツールとしてうまく使いつつ、最後は人間の頭で本質を考える、ということが重要です。そのためには、実際に問題を解決していっている現場に出てもまれるということも大事でしょう。

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