2006年10月25日水曜日

Web2.0に対して深まる分析:Fake Sharing vs Switchboard

「ユーチューブは本当にWeb 2.0か」--「Web 2.0の倫理」をめぐって盛り上がる議論

クリエイティブ・コモンズで有名なレッシング教授が、YouTubeを"Fake Sharing"と批評しているようです。

とくにクリエイティブ・コモンズのような立場からは、価値の増大に向けて情報を積極的に共有していくことがよいことだと考えられているわけですが、YouTubeは仕組みとして情報のダウンロードや加工を許していないので"Fake"だ、と。

たしかに、YouTubeはリンクを自由に貼れるという意味では共有を促しているように見えますが、実際には自サイトに情報を溜め込んでいっているのであり、情報の発散(積極的共有)とは言い切れない部分があります。

最近のGoogleの一連のサービスも含めて、Web2.0の提唱者Tim O'Reillyは、"Switchboard vs Repository"という概念を出し、もともとのGoogleは広範囲のサイトに情報や注意を発散していくSwitchboardだったが、最近は情報を溜め込むRepositoryになってきていると指摘しているようです。

自分は、「情報の猛烈な再活用を行うWeb2.0」で、レッシングさんの言う"Fake Sharing"も含めて、つまり肯定的のみならず否定的な意味も含めてWeb2.0について書きました。
ただし、それだけでは何も言っていないも同然です。

が、こういう"Real Sharing vs Fake Sharing"や"Switchboard vs Repository"という分析概念にはなるほどと思うと同時に、いよいよ本格的かつ本質的な分析が深まってきたな、という気もします。

今までは、Web2.0的な動向について、単純に現状を追認するだけのような浅い分析が多かったように思います。とくに既存の理論を現状に無理やりあてはめて分析したかのように見せるようなものが多く見受けられました。
みんな、何かが起こっているのはわかるのだが、それをどう扱ってよいのかわからなかったというのが実際だったんだと思います。

レッシングさんは、クリエイティブ・コモンズのようなしっかり筋の通った価値軸をもっているので、賛成するかどうかは別として、現状に対してより批判的客観的立場に立てるんだと思います。

今後、こういう本格的な議論が深まっていくんでしょうね。この議論自体についてもまだまだ続きがあるようなのでウォッチしていきたいです。
置いていかれないようにしないといけないですね。

ちなみに、レッシングさんにしても、YouTubeがダメだというのではなくて、YouTubeにはクリエイティブ・コモンズ的な考え方がなく、その意味でFlickr等のようなクリエイティブ・コモンズを適用しているようなサイトとは区別して考えるべきだ、というのが主張だとは思います。

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