2007年9月20日木曜日

匿名性を維持しつつトレーサブルなIDを

ネットの書き込みにトレーサビリティは必要か--「ネットID」を識者が激論
 前編
 後編

ジャーナリストの佐々木俊尚氏、弁護士の小倉秀夫氏、独立行政法人産業技術総合研究所の高木浩光氏、ゼロスタートコミュニケーションズ専務取締役の伊地知晋一氏という4人による、共通ネットIDについての議論です。

この議論では、論点が2つに分かれています。

1. トレーサブルなIDが必要か
2. 匿名性はどこまで有益か


1.トレーサブルなIDは必要
これについては4人で共通見解が出ていると思います。すなわち、何かあったときに追跡可能なIDは導入すべきである、ということです。

これは、個人的にも賛成です。
インターネットの側からこういう仕組みを提案し作っていかないと、ただでさえ既存社会勢力からの反発もあるので変な制度を押し付けられかねないとさえ思っています。それくらいなら先手を取って自分たちで作っていくべきです。

近代社会においては、論理一貫した意志を持つ個人が社会の大前提となっています。法の世界はこうした個人を前提に成立しています。なので、論理一貫した意志を持たない=狂気の個人は法で裁くことができないのです。
インターネットが現代の社会で社会的ツールとなるためには、この個人というものをインターネットの世界で成立させないといろいろ難しいものがあると思います。

これに反発する人は、個を前提とする近代社会のその先を、匿名のインターネットに見ようとするのですが、実際にそれがどういう世界になるのか具体的なものは何も出てきていません。戦中の「近代の超克」議論と同等なのではないでしょうか。近代を乗り越えようとしてけっきょくなにものも生み出しえない。。。

インターネットの世界で個を成り立たせるために、ネットIDのような個を特定できる仕組みが必要です。

ただし、実際には、このIDをどこがどう管理するのかというのは非常に難しい問題です。
国家が管理すればプライバシーの問題が生じます。個人は国家の監視から自由である権利があるためです。
ただでさえ社保庁など、公務員に信頼はよせられません。
そのため、たとえば以前の投稿では複数のネットID管理会社があるようなインターネット世界を想定していました。


2.匿名性は維持されるべき
2.の匿名性については4人で意見が分かれているようです。ただし、匿名性を完全に排除せよと言っている人はいないように思います。

たしかに、匿名は必要なときがあります。
たとえば、利害関係のある団体や人を告発するときに匿名性は力を発揮します。また、佐々木氏が主張するように、匿名性のおかげで肩書きに左右されないフラットな議論も期待できます。

そういう意味で匿名性にも一定の役割があり、守られるべき権利でもあります。

匿名性を維持しつつトレーサブルになるような制度と仕組み、それを実現するためのIDを作っていくべきではないでしょうか。

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