2007年9月26日水曜日

DRMフリーの音楽配信の流れ

ITPro:著作権管理にはメリットなし!? 欧米で広がるDRMフリーの音楽配信

いよいよオンライン音楽業界は、DRMフリーの流れになってきているようです。
すでにiTunesでは、EMIの曲をDRMフリーで購入可能です。DRM版より少し高めですが。
AmazonもDRMフリーの曲をダウンロードするサービスをβ版で開始したそうです。

ついこの間、iTunesがDRMで音楽業界を味方につけて音楽ダウンロードサービスをビジネスにしたと思っていたら、あっという間にDRMフリーです。早いですね。日本ではいまだ何回コピー可能にするかとか議論している間に。

購入したものを自分の自由にできないということに対してはユーザから不満が多かったようですね。そうしたユーザの声に逆らえないようになってきているようです。

クリエータにとっても、名声と経済的対価さえ確保できるのだったら、自由に聴いてもらえる方がよいはずです。コンテンツを囲い込んで独占することによってメリットを受けるのは主に音楽会社(配給会社)です。

DRMフリーの音楽ダウンロードモデルは、言ってみればクリエータとリスナーの仲介部分を薄くする中抜きビジネスモデルなのかもしれません。

この場合課題になるのは次の2点ではないでしょうか。

1.メガヒットの消滅???
ミリオンセラーの多くは、音楽仲介業者のプロモーションによるところが大きいです。中抜きモデルでこれらプロモーションにお金をかけられなくなると、メガヒットがなくなるかもしれません。
ほとんどのクリエータにとっては、極端なメガヒットは不要で、メガヒットがなくても中抜きであれば金銭的にも問題ないでしょう。
ただ、ユーザの中にはヒットしたものだけ聴くという人もいるかもしれず、メガヒットがなくなるとそういうユーザが音楽から離れる可能性もあります。

これについては、たしかに今まで通りの音楽流通の形はなくなるのかもしれません。新しいまた別の音楽流通、音楽の聴き方、音楽の創り方になっていく可能性はあります。
その中でメガヒットなんてなくなってもよいと考えられるようになるかもしれません。


2.海賊版の取り扱い
DRMを徹底することによるメリットは海賊版を防御できる可能性が高まることです。ただし、記事でも指摘されているように、オンライン配信だけDRMかけてもCDなどからDRMのない形で流れてしまいますし、海賊版を完全に撲滅するのはかなり難しいことなのでしょう。

DRMフリーにして海賊版を取り締まるためには、地道な違法コピーの指摘と摘発しかないのでしょう。

海賊行為についても程度問題で、クリエータの経済的対価が減少するまで影響があるようであったら問題になりうるかもしれません。

根本的解決策としては、海賊行為をしても意味がない、海賊版が海賊版たりえなくしてしまうことです。つまり、禁止しているから海賊行為が出るわけで、自由にしてしまえば流れているのが海賊版なのかどうかわからなくなってしまいます。

クリエータに対する経済的対価については、ライブやそれ以外のものでのビジネスモデルとするか、CMや映画などでの商用利用では料金をとるようにするなどでしょうか。曲の自由流通や曲製作に対して証券化するようなことができれば新しいビジネスになるのかもしれません。


それにしてもアップルはうまいですね。DRM使ってiTunesで大稼ぎしておいて、DRM機能のAPIを解放するような圧力が出てきたとたんに、DRMフリーに議論の土台をかえて一気に形勢挽回してしまう。
どんどんオープンになっていく大きな世の中の流れは変わらないとして、企業としてはそのオープン加減をうまく調整しつつ機先を制してリードしているようにすることで利益を得ていくという、そういうビジネスモデルが今一番有利なものなのかもしれません。
ただ、そういう流れに乗り流れを作っていくことはそうとう難しいのだと思いますが。

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