2006年8月31日木曜日

アーキテクトと哲学者

システム統合の要点となるビジネス−IT−組織のアラインメント
第3回:アーキテクチャとフレームワークの定義


に、Software Designを書いたDavid Budgenの言葉として、

ソフトウェアアーキテクチャ=要素(element)+形態(form)+原理(rationale)

とあるそうです。
アーキテクチャとは何ぞやを表した言葉としてなかなか本質的な定義だと思いますが、他方でここまで抽象化されると、アーキテクチャじゃなくても、あらゆるものが要素と形態と原理からなるとも言えそうです。

実際、古代ギリシャ哲学のアリストテレスは、四原因説として、「質料因」、「形相因」、「作用因」、「目的因」というものを考えました。ものは、そのもの自体を形成する質料と、そのものがどのように形成されるかを規定する形相と、どうしてそのような形相になるかの作用もしくは目的、この4つから成り立っているというものです。

アリストテレスのさらに前、プラトンは、質料と形相では、形相を重視し、形相こそがものの本質であり、それはイデア(理想型)の写しであるとしました。したがって、形相がどうしてそのようになるかは、イデアの善にどれだけ従っているかによることになります。形相(Form)がどうしてそのようなものなのかは、善さを追い求めたからということになります。

あるものがどうしてそのようにあるのか?というのは哲学の根源的問いかけです。これに倣って、あるIT部品がどうしてそのようにあるのか?というのがアーキテクトの問いかけと言えるでしょう。
たとえば、WebのフレームワークとしてStrutsを使う場合、みんながそれを使っているからでなく、どうしてStrutsなのか、さらには StrutsはどうしてMVCの考え方で設計されているのか、さらにさらにどうしてMVCの考え方がよいのか、と問うていくことが重要なのだと言えます。

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