「医療ミスの刑事告訴について」に書きましたが、いまだに小倉弁護士のblogはこの問題が取り扱われています。
最近まとめっぽいエントリがあったのでご紹介。
la_causette:デマの効果
前の日記にも書いたとおり、私も医師の刑事告訴は医師のなり手をますます減らしてしまうと思ってましたが(TVなどでそう主張されるので)、その考えを一部あらためました。
医師の数が足りてないのは、あきらかに医師自身のせいなのです。訴訟が起きるかどうかは間接的なものにすぎません。
小倉弁護士のblogであきらかにされているように、医学部卒しか医師になれず、かつ医学部を卒業して医師にならないひとが統計上かなり少ないことから、医師の数不足の原因はまずは医学部学生数の少なさにあります。
そして、医学部学生数を現在の数のまま増やしてこなかったのは、まさに医師のロビー活動のせいなのです。何十年も前から定期的に国会で医師の数の問題がとりあげられると医師会かどっかの医者が証人に立って、医師の数を増やす必要はないという答弁を繰り返しています。これは記録が残っているのでたしかなことです。
次の原因は、開業医が勤務医に比べて条件がよすぎることです。同じ医者でも、街の老人世間話相手にしている人(失礼)と、高度な医療を扱いかつ 24時間体勢で勤務環境が厳しい勤務医とでは、報酬に差があって当然です。勤務医の方に経済的メリットをつけるべきですがそうはなっていません。
専門職分野であり単純に経済効率を追い求めるわけにはいきませんが、一般的な経済の問題として考えると、医師不足の原因はあきらかに、参入障壁の高さであり、かつ医師の中でも規制や専門の移動の制限によって、勤務形態や担当科といった労働内容に見合った需給のバランスがとれていないことのように思えます。
だからといって規制を完全撤廃しろというのは違うと思いますが、でも、現時点では医師の刑事告訴が医師不足を招いているという事実はないという正しい認識は必要に思いました。もっとも、今後そうなる可能性はありますが。
なので、医師の刑事告訴のことをもって医師不足と労働環境の悪化をうったえるのは筋違いもいいところで、医師不足と医師の労働環境改善については、別途取り組むべき施策がたくさんありそうです。
2008年8月27日水曜日
医師の刑事告訴は現状医師不足の原因とは言えない
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