2010年1月30日土曜日

構造主義のミナモト

闘うレヴィ=ストロース』渡辺公三、平凡社新書

昨年(2009年)10月に100歳という長寿を全うして亡くなった文化人類学者レヴィ=ストロースの生涯と思想に迫った本です。若き日のレヴィ=ストロースを知らなかったので、非常におもしろかったです。

レヴィ=ストロースは、サルトルと論争したことでも有名ですが、若き日(戦間期)は政治色の強い思想青年で、当時の社会党政権にも近いところにいたようです。が、その道に諦めをつけてブラジルへ渡航します。そこで、文化人類学のフィールドワーカーと転じ、現地で長年原住民と生活をともにします。
その地で、西欧中心主義的な考え方を徹底的に相対化し、後に"構造主義"として一世を風靡する思想の基盤を形成したようです。

フランスに帰国後は、構造主義者として活動すると同時に引き続き北米インディアンの神話研究を行います。西欧の主体と論理中心の世界を相対化しうる世界として、神話の世界を梁歩し、より普遍的な思考の形態を模索したと言えます。

筆者が冒頭と途中で引用してるレヴィ=ストロースの写真とその解説が的を射ています。動物や原住民との心を許した距離感(親近性)と一方で常に冷静客観的な目の底。まさに、レヴィ=ストロースの研究姿勢を示していると納得でした。

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